ファッションと環境問題

By Fashion Revolution

2 years ago

「服は環境破壊をしている」

もしこう言われても、ショーウィンドーに並んでいる華やかな服たちがCO2を排出したり、森林を破壊したり、川や海を汚したりしているようにはなかなか想像しづらい。でも、ファッション業界が環境に与えている負荷は意外にも大きい。

 

たとえば、気候変動問題。パリ協定では今世紀後半には温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることが決められたが、ファッション業界のCO2排出量は増加の一途。2015年比で60%以上増加し、2030年には約20億8千万トンになると予測されている。これは一年間に2億3千万台の乗用車から排出されるCO2の量にほぼ等しいという※1。

化学物質の使用も多い。服の素材として約3割を占める綿は世界の農地の3%を占めているがこのわずかな土地で全殺虫剤の16%、全除草剤の7%が使われている※1。こうした農薬の影響で吐き気やガンなどの健康被害に悩まされる農家は多い。また、染色の際の重金属や環境ホルモンなどの化学物質が川や海を汚染し、地域の人々の飲み水を奪っている。淡水の汚染の20%は織物加工と染色によるという調査結果もあるほどだ※2。

 

水も多く使う。Tシャツ1枚をつくるのに必要な水の量は2720リットルと言われる※3。1日の平均飲料水を一人あたり約1.5ℓとすると約5年分の水が使われていることになる。というのもまず綿花栽培に多くの水を使う。栽培地にもよるが1キロの綿をつくるのに1万から2万リットルの水が必要になる※4。特に染色は水を多く使う。全生産プロセスで使用する水の85%が染色で使われ、1キロの繊維を染めるのに100から150リットルの水が必要といわれる。2030年までには需給ギャップが40%以上にもなると予測されている。ファッションに大量の水を使っている場合ではないことは明らかだ。

 

さらにマイクロプラスチックの問題にもかかわっている。マイクロプラスチックとは5ミリ以下のプラスチックのこと。推計で最大約1300万トンも海を漂っているという。悪いことにはこれがPCBなど有害化学物質を吸着し100万倍にも濃縮することが明らかになっている。

この問題に服がどうかかわっているのだろうか。現在、服の約6割はポリエステルやナイロンといった化繊、つまり繊維状のプラスチックからつくられている※5。それが洗濯をする度に細かな繊維となって下水へと流れる。繊維はとても細かいため下水処理施設でとらえられきれずに海へと流れていくというわけだ。流れ出た繊維は魚の体内に入り、私たちの身体に入ってくることが懸念されている。

 

そしてごみ問題。毎年ファッション業界から9200万トンの繊維が廃棄されているが、2030年にはさらに5700万トン増えると予測されている※6。これは一人当たりに換算すると一年で175キロもの繊維ごみを出すことに等しいという。

日本における衣類の3R(リユース、リサイクル、リペア)率は約26%※7。ペットボトルやアルミ缶のリサイクル率(約8割)と比べるとかなり低い。残り7割以上は焼却処分か埋め立て処分されていることになる。日本は衣類の約95%を海外からの輸入に頼っている。つまり大量の衣類をわざわざエネルギーをかけて運び、大半をごみとして捨てているわけだ。もったいないという他ない。

 

服が環境に与える影響をみていくと、その深刻さに頭を抱えてしまう。でも解決法はたくさんあるはず。まずは服を長く大切に着る、リユースショップで選んでみる、天然繊維の服を選ぶ、オーガニックコットンの服を選ぶ、などなど。さらなるヒントはこのファッションレボリューションキャンペーンを通してぜひたくさんみつけてほしい。

文/有川 真理子

 

※1 Global Fashion Agenda and The Boston Consulting Group, Inc. (2017), Pulse of the Fashion Industry
※2 Raybin, A (2009), Water pollution and textiles industry as cited in The Sustainable Academy (SFA) and The Global Leadership Award in Sustainable Apparel (GLASA) (2015), The State of the Apparel Sector – 2015 Special Report: Water
※3 WWF The Impact of a Cotton T-Shirt
※4 Chapagain, A, Hoekstra, A et al (2006); Mekonnen, M.M. and Hoekstra, A.Y. (2010), Mekonnen, M.M. and Hoekstra, A.Y.(2011); Cotton Incorporated (2012) as cited in The Sustainable Academy (SFA) and The Global Leadership Award in Sustainable Apparel (GLASA) (2015), The State of the Apparel Sector – 2015 Special Report: Water
※5 WORLD APPAREL FIBER CONSUMPTION SURVEY 2013
※6 Global Fashion Agenda and The Boston Consulting Group, Inc. (2017), Pulse of the Fashion Industry
※7 「繊維製品3R関連調査事業」報告書 平成22年2月 独立行政法人 中小企業基盤整備機構